
AMENIWA
【雨庭との出会い】土間コンクリートに代わるものはないだろうか
家づくりや街づくりに携わるなかで、増木工務店が以前から気になっていたことがあります。
それは、駐車場のつくり方です。
住宅の駐車場といえば、コンクリートを打つか、砂利を敷くか。車を停めるための場所として、そうした仕上げが当たり前になっていました。けれど、敷地の地面をコンクリートで覆うことが、本当に最善なのだろうか。
雨が降れば、舗装面に落ちた雨水は地面に浸透することなく、勾配に沿って流れていきます。駐車場としての機能を保ちながら、雨水を受け止め、土や緑を活かせる方法はないだろうか。
そんな疑問を、私たちはずっと抱えていました。

そう語るのは、増木工務店 代表の齋藤。
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》「大地の再生」との出会い
その関心の背景にあったのが、2022年に公開されたドキュメンタリー映画『杜人(もりびと)〜環境再生医 矢野智徳の挑戦〜』との出会いです。

映画を通じて知ったのが、「大地の再生」という考え方でした。
大地の再生は、目に見える緑を整えるだけでなく、土の中の水や空気の流れにも目を向け、土地が持つ環境の働きを活かしていく取り組みです。
私たちが普段つくっている家も、その家が建つ土地も、切り離して考えることはできません。建物の性能を高めるだけでなく、その周りの環境もより良くできないだろうか。
映画を観たことは、そんな視点を持つきっかけになりました。
一方で、実際に大地の再生の考え方を取り入れようとしても、身近な造園業者のなかで、そうした取り組みを実践している方となかなか出会えませんでした。自分たちだけで始めるには、知識や技術の面でもハードルがありました。
考え方には共感できる。でも、実際の家づくりにどう取り入れていけばいいのか。その方法を探していたのです。
》探していた答えが、雨庭につながった
そんなとき、フォーラムで、埼玉県寄居町の造園会社・中央園芸さんによる「雨庭のセミナー」が開催されることを知りました。そこで、実際に話を聞きに足を運ぶことにしました。

雨庭とは、屋根や舗装面に降った雨水を集め、一時的に受け止めたり、地面へ浸透させたりするように工夫した庭のことです。土や砂利、植物などを活用し、雨水の流れを整えながら、緑が育つ環境をつくります。
雨水をただ排水するのではなく、土地の中で受け止め、活かしていく。

その考え方は、私たちが以前から感じていた「駐車場のコンクリートに代わるものはないだろうか」という疑問にもつながるものでした。
駐車場は、車を停めるためだけの場所ではありません。つくり方を工夫すれば、雨水を受け止め、土や緑とつながる場所にもできるのではないか?
大地の再生を通じて知った、土地の環境に目を向けるという視点。それを、日々の家づくりのなかで実践する方法のひとつとして、雨庭に可能性を感じました。
》まずは、スタッフの自宅で実践
考え方を知るだけでなく、実際に試してみることも大切です。
そこで増木工務店では、スタッフの自宅で「雨庭駐車場」に取り組むことにしました。
車を停める場所としての使いやすさを確保しながら、地面を一面コンクリートで覆わず、雨水を受け止める環境をつくる。
実際の暮らしのなかで試すことで、雨庭を住まいに取り入れる可能性を考える第一歩となりました。
もちろん、雨水の浸透の仕方や受け止められる量は、土の状態や地形、施工方法によって変わります。だからこそ、土地の条件を確かめながら、その場所に合ったつくり方を考えることが大切だと学びました。

》一軒の駐車場から、街全体の環境づくりへ
一軒の庭や駐車場で雨水を受け止めることにも、もちろん意味があります。
そして、複数の住まいが集まる街づくりでは、さらにできることが広がります。
のきの根は、約400坪の敷地に11の住まいを計画するプロジェクトです。建物だけでなく、庭や駐車場、通り道、植栽などを一体として考え、敷地全体の土や水、緑のつながりをつくることを目指しています。

一軒ごとの工夫を積み重ねながら、街全体で雨水をどう受け止め、緑をどう育てていくかを考える。分譲地全体を計画できるからこそ、個々の敷地だけでは難しい環境づくりにも取り組むことができます。
「大地の再生」との出会いから始まった関心は、駐車場のつくり方への疑問を経て、雨庭という具体的な取り組みへとつながりました。
家を建てるだけでなく、土地の働きを活かし、雨水が巡り、緑が育つ街をつくる。
そのために、私たちはこれからも、建物の外側に広がる環境と向き合っていきます。

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