土のある暮らし
2023年5月20日
記事|
山口愛莉沙
畑の始まり
テーマは循環
この場所で、農や緑、暮らし、さまざま発信をしていく中で何か軸になるモノを決めなくてはと思いました。これまで私たちが建築してきた街や、オーナーさんのこれまでの暮らし、世の中の環境問題、未来に残し繋ぐための発信…様々なことを考え、辿り着いたのが「循環」という言葉です。
自然界は循環のサイクルがあり、それによって虫も、植物も、私たち人間も生かされています。私たちが建築する建物もできる限り、そうであるべきと考えます。それは使用する素材選定であり、住まい手が変わり住み継ぐことでもある。
「最後は土に還ることができるのか?」
これから体験する様々な出来事で迷ったとき、この問いかけを思い出して選択していくことにしました。そうすれば、自ずと自然と共生する暮らしに辿り着くような気がしています。
私たちも初めての体験です。
大きな失敗もするでしょう。でも小さな成功(実り)が、次の種となり、また新しい出会いとなるよう、自然も、モノも、ヒトも循環する場所にしていきたいと思います。
畑の始まり
100坪の敷地の中にある、10坪の畑「トコみどファーム」。
これまでも、農ある暮らしをカタチにした分譲地で農業を体験をしてきた私たちですが、自分たちだけで0からスタートする畑はコレがはじめてです。
元々暮らされていた住まい手さんは、化学肥料を使用せずできるだけ自然の中で野菜作りをされて来られたそう。そんな畑を引き継ぐため、できる限り自然農法で作物を作ることにしました。
3月の終わりに土を耕し、4月中旬に畝をつくりました。
種から?苗から?
元々暮されていた住まい手さんは、できるだけ国産の種を購入して種から苗を育てていたそうです。私たちは、苗から育てていた経験の方が多く、種から植えて果たして上手く育ってくれるのか…。不安は残るものの、でもやってみないと分からない!とりあえずやってみよう!の精神で種を買いに。
種にもこだわりたい。
できるだけ顔が見える人の種を買いたい。以前からスタッフが訪れていた埼玉県飯能市にある「野口のタネ/野口種苗研究所」さんへ足を運びました。全国で唯一、固定種のタネのみを扱う種苗店です。
※固定種…育てた野菜から次の世代へ、次の世代からまた次の世代へと同じ形質が受け継がれ、味や形が固定されたものが育つ種を採ることができる品種のこと。
私たちは、この畑で循環のサイクルを作りたいと思っています。種を育てて苗をつくり、苗を育てて作物をつくり、作物から種を採ってまた苗を作る。そんな循環のサイクルに挑戦します。
お店には見たことない珍しい野菜の種がたくさん。見ているだけでワクワクしてしまい、目移りしてしまいましたが、トコみどでどんな暮らしを伝えたいのか想像しながら山口と堀越が種を選びました。
10坪の畑の半分は夏野菜用。もう半分は秋野菜用です。
たくさんの人を招き入れるコンセプトハウスなので、1年を通して作物が育つ風景を見ていただきたいと思っています。そのために、私たちスタッフも気合を入れて頑張ります!